この1年半、ランニングの記録がほとんど伸びていません。
自己ベストタイムは、ハーフマラソン93分、5kmは19分40秒。
私自身、フルタイムで仕事を進める中、週2回のランニング練習を目標に継続してきました。ランニングでよくやっていたメニューは、キロ4分30秒で7km走るテンポ走。
(テンポ走とは:乳酸が増えやすくなる強度付近で一定時間走り続け、速いペースを維持するためのトレーニング)

8月のHYROX大阪前には、週2回のランニングをすべてテンポ走に切り替えるなど、なるべく質の高いトレーニングを意識していましたが、、、、
自己ベストは出なかった
一方、先日のHYROX千葉大会でも自己ベストは出ませんでした。
それどころか、1年半前と比べても、HYROXでのランニングペースや、ロードレースでの5km・ハーフマラソンのタイムはほとんど変わっていません。
何が足りなかったのか。
振り返ってみると、一番大きかったのは、そもそも距離を走っていなかったことだと考えています。
月60〜80kmでテンポ走ばかりしていた
私の月間走行距離はおよそ60〜80km。週平均にすると14〜18km程度です。
一般的な健康維持という意味では十分な運動量だと思いますが、HYROXでサブ70を目指している人の中では、ランニングの練習量はかなり少ない部類だと思います。
時間が無いを言い訳に、「ランニングの練習をするなら1回あたり30分以内で終えたい」という思いもあり、30分ほどで終わる7kmのテンポ走を選びがちでした。テンポ走は地味にきつい種目ですし、きつい練習をすることで、練習量の少なさをカバーしたいという思いもありました。
テンポ走は大事な練習法ですし、HYROXのElite 15で活躍する選手たちも、その重要性について頻繁に解説しています。

↑エリート15の常連選手リッチ・ライアンもテンポ走が大事と力説
ただ、それなりに速いペースで走る練習はしていても、月間走行距離が圧倒的に少ない。「質」はある程度のレベルは保てたかもしれませんが、シンプルに量が少なく、質×量のボリュームで見ると完全に不足していました。
走行距離は無視できない
調べてみると、一般ランナーを対象にした研究でも、週間走行距離と5km、10km、ハーフマラソンの記録には一貫した関連があります。
2,303人の一般ランナーを調べた研究では、年齢やBMI、テンポ走やインターバル走の実施などを考慮した後でも、週間走行距離が多い人はレースタイムが速い傾向がみられました(1)。

もちろん、これは「距離を増やせば必ず速くなる」という意味ではありません。
速い人だからたくさん走れるのかもしれませんし、ケガしにくい人ほど走行距離を伸ばしやすい可能性もあります。それを加味しても、距離とタイムに一定の関連があることは事実です。
実際、同じ人のトレーニング量を増やした研究でも興味深い結果があります(2)。
一般ランナーを対象に、低強度トレーニングを1週間当たり約30キロ増やしたところ、3,000mのタイムが平均2.2%改善しています。

1つの示唆としては、ランニングの走行距離とパフォーマンスの間には関連があり、走行距離はパフォーマンスを決定する上での重要なファクターになります。
走行距離はHYROXにも影響が出る可能性大
私にとって特に気になったのが、ハーフマラソンの研究です(3)。
ハーフマラソンのランニングペースとHYROX本番でのランニングペースは近くなるため、HYROXの走力を考えるうえでもハーフマラソンの能力は非常に重要だと考えています。
一般ランナー556名を調べた研究では、週32kmを超えて走っていた人は、週20〜32kmの人より、年齢やBMI、ランニング経験などを調整した後でもフィニッシュタイムが約4.2分速いという結果でした。

さらに、走行距離が多い人ほど後半のペース低下も小さかったと報告されています。この点は、私自身かなり当てはまります。
私のVO2maxの推定値は60〜61程度で、5km19分40秒という自己ベストを考えると、持久力が極端に低いというわけではありません。

問題は、その能力を長く使い続けられないことです。
スタート直後の元気な状態ならある程度走れますが、距離が伸びたり、HYROXのように長時間ランニングと筋力系種目を繰り返したりすると、なかなかペースが上がりません。
最近の持久力研究では、このように疲労が蓄積してきた後でも能力を落とさず維持する特性を「Durability(デュラビリティ)」と呼ぶことがあります。簡単に言えば、「後半になっても落ちにくい力」です(4)。
デュラビリティをどう改善するかについては、まだ研究途上の部分もありますが、低強度を含めて十分なトレーニング量を積み、長い時間動き続ける経験を重ねることは、その土台の一つになると考えられています。
まさに、これまでの自分に足りなかった部分です。そもそもの練習量が少なければ、身体に与えられる刺激も限られます。
きついテンポ走だけを繰り返していても、ランニング全体の土台が十分に作られなければ、なかなか次のレベルには進みにくいのだと思います。
質か量かではなく、どちらも大事
これまでの自分は、ランニングをかなり「時間効率」で考えていました。
仕事で忙しいので、なるべく短時間で済むテンポ走を行う。限られた時間で強い刺激を入れた方が効率がいいだろう、と考えていたわけです。
一方、こういう練習を続けていると、週の走行距離をなかなか稼げません。結果として、質の高い練習はしているつもりでも、それを支えるランニングの土台が足りなくなってしまいます。
ランニングは「量か質か」の二択ではなく、ある程度の練習量を積み、その上に質の高い内容を加える。
これはランニングに限らず、多くのことに共通する考え方だと思いますし、二者択一ではなく、どちらも取りに行く姿勢が私には欠けていました。
今後のプラン
今後は、以下の3つを組み合わせながら、月間100kmを一つの目安に走る予定です。
1. 低強度のランニング(ゾーン2)で走る量を増やす
2. テンポ走で乳酸性作業閾値(LT値)付近の能力を鍛える
3. インターバル走でVO2maxを高めるための刺激を入れる
私の場合、ゾーン2のランニングで10km、テンポ走で7km、インターバル走で6km程度走ります。
1週間で、10km + 7km + 6km = 23km。
おおむねこのメニューを繰り返せば、月間走行距離は100km前後まで増やせそうです。もちろん、ランニングの練習量をもっと増やせば、それだけ競技力が上がる可能性は高くなります。ただ、会社経営している中で、そのすべてをHYROXに費やせるわけではありません。

↑リオールジム銀座店開業時に聖路加病院乳腺外科の先生方からいただいた胡蝶蘭
私にとって、HYROXはあくまで趣味です。本業をしっかりやった上で、限られた時間の中でどこまで競技力を高められるか、というのが自分にとっての前提になります。
そう考えると、週3回のランニングは、以前の自分からするとかなり多い練習量となりますが、ここをやらなければ次の大阪大会で目標としているサブ70は難しいと思っています。
これまで足りなかった「量」を増やしつつ、テンポ走やインターバル走の「質」も落とさない。まずはこの形でしっかり積み重ねる必要があります。
本当にこの考え方でランニングのタイムが伸びるのか?トレーニング科学上はエビデンスベースな考え方ではあると思ってはいますが、成果が出るか否かまでこだわる必要があります。
答え合わせは、次回のHYROX大阪となりますので、黙々と週3回の練習に励みたいと思います。
参考文献
- Vickers AJ, Vertosick EA. An empirical study of race times in recreational endurance runners. BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation. 2016.
- Nuuttila OP, et al. Individualized Endurance Training Based on Recovery and Training Status in Recreational Runners. Medicine & Science in Sports & Exercise. 2022.
- Fokkema T, et al. Training for a (half-)marathon: Training volume and longest endurance run related to performance and running injuries. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports. 2020.
- Jones AM. The fourth dimension: physiological resilience as an independent determinant of endurance exercise performance. The Journal of Physiology. 2024.






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